分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、2013年のマンション市場を振り返りながら、14年の同市場を予測したレポートを発表した。
同レポートでは、13年のマンション市場を(1)供給戸数は都区内中心に大幅増。在庫も低水準、(2)分譲価格・単価は、23区のみ大幅上昇、(3)売れ行きも23区のみ絶好調。それ以外は12年並み、(4)人気エリアは売れ行きの良いマンションは価格も上昇しているが、埼玉・千葉は価格志向が強く残るなど、市場の二極化進む、(5)用地取得環境はさらに厳しく、(6)大手ディベロッパーの寡占化は進行、などと分析。「販売に関してはほとんど心配がない年ながら、用地の高騰、建築費のさらなる上昇で郊外部の一次取得者向けマンション事業の組み立てが難しくなるなど、簡単には解決できない課題が浮き彫りになった」とした。
一方、14年のマンション市場は、23区以外での着工減少が予想されるが、売れ行きが良ければ、供給戸数は前年なみの5万戸台前半、非好立地の価格上昇物件の売れ行きが悪ければ、4万戸台中盤となると予測。中高級マンション購入者の資金計画が、本人だけから本人+親となりつつあること、富裕層・海外投資家の購入が活発化したことなどで、購入体力が上昇。都内・都心の好立地については価格上昇への対応力が上がり、強気の仕入れができるとしたが、郊外はターゲットの購入体力が上がらないことに加え、消費税増税と建築費上昇の影響が大きく依然として慎重な判断が必要とした。
また、建築費が25~30%の上昇、工期の長期化、施工精度や品質の低下など、建築工事発注環境が過去に例を観ないほど劣悪であることから、ディベロッパーは自社で建築費の概算見積もりができる体制づくりをし、工期の柔軟化、支払い条件の改善などゼネコンとの付き合い方を工夫すべきとした。
その上で、ディベロッパーはレギュラーの分譲マンション事業に加え、リノベーション事業、買取再販事業、建て替え事業、シニアマンション事業、戸建て事業、賃貸事業(シェアハウス等)、地方再開発事業、メガソーラー、といった事業ポートフォリオの多角化が求められるとし、「マンション事業に対するアゲンストの強風が当分続く中、事業の多角化への第一歩の年となる。今まで経験・実績を積み重ねてきたマンション事業に関しても、過去の経験やデータベースが活きない、海図のない航海がスタートする年」と結んだ。