(公財)日本賃貸住宅管理協会はこのほど、2022年度(22年4月~23年3月)の賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」を発表した。今回で27回目。同協会会員へのアンケートを基に業況判断指数(DI値)を算出している。回答社数は541社。
同期のDI値は、「成約件数」が16.2(21年度調査6.5)。各エリアとも前年度から大幅上昇となり、コロナ後の人の動きが活発化していることがうかがえる。「成約賃料」は、1R~1DKが3.8(同マイナス5.8)、1LDK~2LDKが14.5(同10.3)、2LDK~が15.7(同10.0)と、どの間取りにおいても上昇した。「物件の仕入れ」については、新築戸数6.3(同3.9)、既存戸数17.0(同16.8)ともに上昇。「入居希望者からの条件交渉」では、「賃料」が10.5(同17.6)、「礼金・フリーレント」が14.9(同21.8)と、下降が顕著となった。
「成約件数」は、全国では「増加」比率が5割弱。関西圏では「増加」比率が5割以上となっていた。「成約賃料」については、全国では「変化なし」比率が4割以上。首都圏において「増加」比率が5割を超えたのに対し、関西圏では「変化なし」が6割弱となった。成約賃料の上昇要因として、建築関連物価上昇の影響により利回りが低下したこと、テレワークの普及により賃料が多少上がっても広いスペースや充実した設備を求める層が増えてきたこと、などを挙げている。
「管理物件の仕入れ」については、全体では「増加」「変化なし」比率がそれぞれ4割以上でほぼ同じ。首都圏と関西圏を除くエリアでは、既存戸数の「増加」比率が高かった。
「新規管理物件受託時の条件交渉」は、委託管理では「入居者募集・仲介」が76.1%と最も高く、「管理報酬」68.5%、「建物管理対応」50.5%、「入居者対応」41.1%と続き、前年度と大きな違いは見られなかった。サブリースについては、「借上料率」が83.0%と突出して高い。
「管理報酬」のボリュームゾーンは、全国では「5%」68.4%。「借上料率」は「85~89%」34.2%だった。「入居率」をみると、全国で委託管理物件は94.0%(同93.6%)、サブリース物件では97.3%(98.7%)。
「平均居住期間」については、実年数での回答方式調査を実施。全国では、単身の平均居住期間が3年3ヵ月、ファミリーの平均は5年2ヵ月と、世帯間で約2年の差が出ることが分かった。
「オーナーからの更新時の条件交渉」では、全国で賃料の「増加」が19.8%と約2割。更新料は「減少」が14.7%と「増加」より高いという結果に。関西圏においては、賃料・更新料交渉の「減少」が顕著で、首都圏とは逆の結果となった。首都圏では市況の好転を背景にした賃料値上げ交渉が増加したのに対し、首都圏以外のエリアでは依然としてオーナーの慎重な姿勢が感じられると分析している。