三菱地所(株)は7日、「災害ダッシュボード」の社会実装を開始した。
災害ダッシュボードとは、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)における災害発生時の情報共有や避難者・帰宅困難者向けの情報の収集・発信といった情報のハブを担う情報連携プラットフォームシステム。「災害ダッシュボードBeta」というソフトウェアを仮想クラウドサーバーで稼働させる仕組みで、同社が開発を手掛けた。今後は同社がシステム管理や保守、千代田区が災害ダッシュボードの運用を行なう。
実装機能は、丸の内エリアに約100台設置されているデジタルサイネージ「丸の内ビジョン」にテレビ放送と区や公共交通機関によるX(旧Twitter)の投稿を配信する「デジタルサイネージ版」、鉄道駅に掲出された二次元バーコードを避難者が読み取ると、避難者のスマホ・ブラウザの地図上に千代田区からのお知らせや帰宅困難者一時受け入れ施設、災害拠点病院などの情報が表示される「デジタルマップ版」、PC向けにテレビ放送と地域情報、災害対策機関のURL一覧を提供する「WEB版」、千代田区と協定締結した帰宅困難者等一時受け入れ施設事業者が開設・満室などの情報を入力することで、施設の状況をリアルタイムに提供する「施設満空情報管理」の4つ。
本日より、JRの「有楽町」駅、および東京メトロ丸ノ内線「東京」駅には、デジタルマップ版にアクセスするための二次元バーコードの常時掲出がスタート。災害発生時には上記機能が稼働する。
マスコミ向けの説明会に出席した千代田区長の樋口高顕氏は「災害発生時には多くの帰宅困難者が発生する。それに向けてどのような対策を取るべきかが課題であった。この災害ダッシュボードで、発災直後の情報難民ゼロを目指すと共に、災害ダッシュボードを都心における先駆的なモデルとして、東京都とも連携した広域的な防災のシステムとの連携なども図っていきたい」と述べた。
なお、災害医療における社会課題の解決につなげるため、丸の内エリアからエリア内の診療所や2次、3次救急への負傷者搬送を速やかに進めるために、緊急輸送バスと連携しての負傷者搬送や、その状況の地図リアルタイム配信などについて実証を続けており、この機能についてもゆくゆく実装していく計画。同社都市計画企画部統括の澤部 光太郎氏は、「システムは今日発災してもいいように動き始めた。他地域からも要請があれば、適時提供を検討していきたい」と語った。