国土交通省はこのほど、厚生労働省と法務省との合同で設置した「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」(座長:大月敏雄東京大学大学院工学系研究科教授)の中間とりまとめを公表した。
これまでの議論を踏まえ、居住支援をめぐる現状と課題、 今後の居住支援のあり方についての基本的な方向性、賃貸人が住宅を提供しやすい市場環境の整備、ニーズに対応した住宅等の確保方策、今後の取り組み等について整理している。
人口減少が進む中でも後期高齢者が今後増加していく見通しであること、住宅確保要配慮者(以下、「要配慮者」)の入居に対して賃貸人の一定割合が拒否感を有していること、居住支援において、属性や状況に応じ、住宅確保等の入居前支援のみならず、入居後の見守り、生活支援などさまざまな支援が求められていることなどを指摘。
基本的な方向性として、要配慮者が賃貸住宅に円滑に入居するための市場環境の整備と共に、福祉施策と住宅施策が緊密に連携し、相談から入居後支援まで一貫した支援体制を行政関与のもと構築すること、入居前のみならず入居中、退去時(死亡時)における対応を充実したものにすること、賃貸住宅の空き家・空き室の実態把握や費用対効果分析を行なうとともに、賃貸人のさまざまな不安に起因する阻害要因の解消を検討、住宅ストックを積極的に活用したものとすること、と整理した。
今後の取り組みについては、市区町村の住宅部局・福祉部局等も主体的に連携した総合的・包括的な相談体制の構築、居住支援協議会の仕組みの積極的活用等による「居住支援の充実」。ICT等を活用した安否確認や訪問時の見守りサポート等の充実、単身高齢者死亡時の残置物処理や賃貸借契約解除を円滑に行なうための居住支援法人や賃貸住宅管理業者の活用による残置物のモデル契約条項の普及等、就寝建物賃貸借事業の対象住戸の拡大や事務手続きの簡素化等による「賃貸人が住宅を提供しやすい市場環境の整備」。家賃の低廉化のさらなる活用推進や低廉な家賃物件への転居に対する支援の検討、十分に活用されていない公的賃貸住宅などの活用といった「要配慮者のニーズに対応した住宅等の確保方策」、「住宅・福祉・司法と連携した居住支援の体制づくり」を挙げている。