不動産ニュース / 団体・グループ

2024/3/22

ARES菰田会長「金利上昇のリスクは限定的」

「日銀の金融政策変更は想定の範囲内。市場は落ち着いている」などと話した菰田会長

 (一社)不動産証券化協会(ARES)は22日、ザ・キャピトルホテル東急(東京都千代田区)で記者懇談会を行ない、会長の菰田正信氏らが2024年度事業計画等について説明した。

 冒頭、菰田氏は「新型コロナウイルスの5類移行以来、わが国の経済活動は着実に正常化に向けて動いている。また、高水準の賃金引上げが行なわれるなど、長年のデフレ経済からの完全な脱却が期待されている。一方で、国際情勢は先行きが不透明な状況が続いていることから、日本経済への影響を注視していく必要がある」などと挨拶した。

 18日の理事会で議決した事業計画では、(1)期限切れを迎える税制措置の延長、(2)ESG・SDGsへの対応、(3)個人投資家へのJREITの普及、(4)不動産証券化協会認定マスター資格の間口拡大、の4点を重点項目に位置付けた。(1)においては、投資法人・特定目的会社等が不動産を取得する場合における登録免許税・不動産取得税の軽減措置の延長等を目指す。また、(2)についてはESG投資が世界的な潮流となり、会員社による開示が重要性を増す環境の中で、情報収集・活動を展開していき、ESG経営を通じた業界の底上げを図っていく。

 (3)に関しては、1月に新NISAがスタートしたことで投資による資産形成への関心が高まっているが、JREITの税制面でのメリットをアピールすることで、個人投資家の投資を呼び込む。幅広い世代に向けたウェブ広告の展開などを通じて、JREITの商品特性を訴求していく。「新NISAが始まったことで、JREITの1~2月の個人投資家の買い越しが約370億円となっており、早速影響が出ているのでないだろうか」(菰田氏)。

 (4)については、25年4月に資格認定要件から実務経験要件が撤廃されるため、新制度に則ったマスター養成講座を実施していく。

 記者から日銀の金融政策変更に伴うマイナス金利解除等の影響を聞かれた菰田氏は、「日銀の発表前は市場に過度な警戒感があったが、発表の内容は想定の範囲内という印象で、市場は落ち着いている」と話した。今後見込まれる金利上昇による影響については、「分配金に対しては、各銘柄が借入期間の長期化や分散化を図っているためリスクは限定的とみる。また、不動産価格については、機関投資家の期待利回りが上がるため理屈では価格が下がっていくのだが、現在の需給バランスを見ると、買い意欲が強く供給が限定的であるので、そこまで大きな下げ圧力にはならないのではないだろうか」という見方を示した。

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