(社)不動産流通経営協会は12日、第11回「不動産流通業に関する消費者動向調査」を発表した。年1回会員会社の協力を得て調査しているもので、05年度に住宅を購入した消費者2,646人に調査票を送り、992人から回答を得た。今回は、税制改正要望とリンクして、買い換えに関する調査を前面に出している。
不動産の買い換えを阻害している要因となる「売却損」についてみると、住み替えに際し自宅を売却した人173名のうち、売却損が発生した割合は82.1%と、前回調査(05年)より4.5ポイントダウンした。だが、1,000万円以上の損失が発生した人が52.6%と依然過半数を超えている。売却損の出た人は、従前住宅を平均3,589万円で購入、2,139万円で売却し、平均1,450万円の売却損を発生させている。特に、1990年から94年の5年間に住宅を取得した人は、1,000万円以上の損失を出す割合が100%となっている。
買い換えにより住宅の床面積が増加した割合は78.1%で、その平均増加面積は13.9平方メートルとなった。また、住み替え先が「既存住宅」の割合が過半数を超え、「たとえ損失が発生してもライフタイルに合わせ住み替える」「必要なもの、気に入ったものであれば住み替え先が既存住宅でも構わない」という買い換えスタイルがうかがえた。
一方、譲渡損失の繰越控除の具体的影響についての質問では、「住み替えの時期を早めた」30%、「住み替えが可能になった」20%など、大きく影響しており、同協会では「売却損が依然として大きい現状を考えれば、現行の制度以上の手厚い支援措置が必要と思う」(内藤勇専務理事)と、買い換え支援税制の拡充を強く訴えていく方針。