(社)高層住宅管理業協会(理事長:川崎達之氏)は4日、「分譲マンションの新たな管理者管理方式に関する報告書」を発表した。
高齢化の進展により、従来の「理事会」を中心とした管理組合方式での管理運営が困難になる組合が急増することが予想されるため、これに代わる新たな管理手法について「マンション管理信託研究会」で検討してきたもの。
当初は、信託業法の改正などを踏まえ、マンション管理への信託導入を検討してきたが、資金面や人的要件についてのハードルが高いことから、より多くの管理業者が導入可能な「管理者(マンション管理会社)管理方式」のスキーム作成をめざした。
ただし、リゾートマンションなどで導入されていた従来の管理者管理方式は、総会における区分所有者の合意形成が必要と、通常の総会形式と差異がなかったため、新方式では管理者の裁量によって実施できる業務内容を明確化(業務実施基準の作成)することにより、総会などを開催せず管理運営を行ない、区分所有者の負担を軽減できるとしている。
一方、この方式ではマンション管理業者が的確適切に業務を行なうことが担保されなければ管理組合が安心できないことから「マンション管理適正化法改正や行政指導による業者の資格要件の明確化」「国土交通省による検査や外部機関による監査」「修繕工事については、管理業者は原則施工監理、設計監理を担当し、工事を受注する場合は厳格な条件を付す」などが必要、としている。
今回の提言について川崎理事長は「マンション管理の現場で少子高齢化が問題にされたのは、つい最近のこと。少子高齢化のことなど誰も考えていなかった時代の流れがそのままきている。社会環境は激変し、マンション住民に占める高齢・単身者の割合がどんどん増えてくる。管理組合が適正に機能しなくなるときが、すぐそこまで来ている。我々はこの現実を危機感を持って捉えており、今回の提言となった」などと語った。また、提言をとりまとめた信託研究会の黒住昌昭委員長は「信託方式の管理については、資金面などハードルが高く、現実的には数社しかできないだろう。協会会員がどの程度のハードルならクリアできるかを考えてきた。今回の提言を全て実現するというわけではない。現状では難しいし、あくまでも1つの選択肢として考えている。しかし、よりスムーズなマンション管理をめざすうえで、将来的にはかなりのシェアになると思う」とした。
同協会では、今回の「新管理者管理方式」を「高齢化社会におけるマンション管理の有効な方式」とし、今後さらに「管理業者の基準」「業務の実施基準」などについて検討を重ね、来春にもとりまとめを行なう方針。