近畿日本鉄道(株)は、同社南大阪線「大阪阿部野橋」駅および近鉄百貨店本店として利用する阿部野橋ターミナルの旧館部分について建て替えを検討してきたが、今回、都市再生特別措置法に定める「都市再生特別地区」の都市計画に関する協議を大阪市と開始したのに伴い、同事業概要を発表した。
「アベノ」は、同社をはじめとした鉄道各線が乗り入れ、「キタ」「ミナミ」に次ぐ大阪の中心地であり、同社にとって最大のターミナル駅。このアベノ地区のさらなる発展に寄与し、ひいては同社事業の成長の原動力とするため、地区の都市機能やイメージを向上させるインパクトのあるプロジェクトとして、日本一の高さとなる約300mの超高層複合ビルを建設することとした。
このタワー館(仮称)は、地上59階地下5階建て、延床面積約21万平方メートルとし、低層階に営業面積日本一の百貨店を配置するほか、中層階には大阪でも有数のフロア面積を誇るオフィス、高層階には国際クラスのホテルを導入し、アベノ地区の都市機能の充実を図る。加えて、美術館や展望台を設置することにより、南大阪の新たな文化・観光拠点を形成する。
建物には、複数の屋上緑化施設を配置することで、まちの景観向上を図るほか、低層階では、新たな公共的空間の確保と歩行者回遊ネットワークの整備を行ない、建物周辺への人の流れを円滑にすることで、地区の賑わいを創出する。
同社は、2010年に創業100周年を迎えるが、4つのコア事業(鉄道、流通、不動産、ホテル・レジャー)すべてを結集し、加えて地区の活性化に貢献する本計画は、同社の新しい世紀を拓くシンボルと位置付け、また同建物が大阪の新しいシンボルになることをめざす。
今後、正式に都市計画決定された後、具体的な計画を推進していくとしている。