三鬼商事(株)は7日、2008年10月末時点の東京・大阪のオフィスビル市況を発表した。
東京ビジネス地区(都心5区)の空室率は平均で4.30%(前月比0.23ポイント上昇)となり、既存ビルで4.17%(同0.22ポイント上昇)、新築ビルで10.57%(同2.65ポイント上昇)。新規供給や借換移転に伴う解約予告が相次ぎ、都心5区全体の募集面積は、この1ヵ月間で約1万5,000坪増加した。大型新築ビルの募集状況はおおむね順調に推移しているが、供給棟数が多いことから、テナント誘致競争が強まっている。大型既存ビルは、統合移転や借換移転に伴う大型需要が出たものの、大型募集の開始や解約予告の影響で募集面積は増加傾向。移転先の選択肢が広がったことにより、テナント企業の要望に柔軟に対応するケースが多くみられる、という。
また、大阪ビジネス地区の空室率は平均で6.02%(同0.13ポイント上昇)、既存ビルで5.91%(0.16ポイント上昇)、新築ビルで13.83%(同▲0.18ポイント)。平均空室率が6%台となるのは、2年5ヵ月ぶり。新築ビルに成約の動きがあったが、既存ビルで大型募集を開始した物件や解約予告、館内縮小の動きが相次いだことによる。
エリア別では、南森町地区と新大阪地区では新築・既存とも成約、入居が進んだ。一方、淀屋橋・本町地区では大型募集の開始・解約により1ヵ月間で募集面積が約1,000坪増加。梅田地区、船場地区、心斎橋・難波地区でも解約の動きにより募集面積が増加した。また、新大阪地区と船場地区で大型ビル2棟が完成予定であることから、誘致競争に拍車がかかるとみている。