(株)東京カンテイは2日、1998年から2008年における中古マンション価格推移から価格回復過程を検証(首都圏)、価格反転時期と利用価値に高い相関性があると発表した。
中古マンションの価格下落から一番早く脱したのは、港区と目黒区(99年)、これに中央区、品川区、渋谷区(00年)で、千代田区、豊島区、荒川区(01年)が続いた。これら行政区は、事業集積性と交通利便性がともに高く、賃料収入が期待できるエリア(収益性・利用価値の高いエリア)であったため、ファンドがこれらエリアの不動産へ盛んに投資した結果、早期の価格回復につながった、としている。
一方、01年頃から、よこはまみなとみらい21(横浜市西区・中区)、幕張新都心(千葉市美浜区・習志野市)、さいたま新都心(さいたま市中央区・大宮区)といった大規模開発が行なわれたエリアを擁する行政区において、価格が回復し始めた。これら行政区は、オフィス・商業施設・住宅が合理的かつ計画的に配置されており、生活利便性が高いエリアであったことが、回復の要因とみられている。
04年以降は、神奈川県相模原市、千葉県船橋市、柏市などの郊外中核市にも回復傾向が広がり始め、06年には郊外への波及が一段落したという。
また、行政区別に中古マンション流通価格の推移をみると、東京23区では5区(中央区、港区、品川区、目黒区、渋谷区)が、東京23区平均より早い時期に反転上昇。そのほか、横浜市、さいたま市、千葉市など早期回復した都心部では、その後も価格の上昇傾向に勢いがつき、07~08年のミニバブル期には突出した伸びを示した。その一方で、郊外では回復の兆しをみないまま、今般の不動産不況を迎えた行政区もあった。
なお、近畿圏・中部圏における価格回復は、首都圏から2~3年遅れで主要都市中心部から始まっており、大阪市浪速区、北区、京都市中京区では首都圏の都心部と同様に、07~08年にかけて急激な価格上昇を示したことがわかったという。