ジョーンズ ラング ラサール(株)(JLL)は12日、東京を中心とした不動産市場の分析、予測をまとめた「2009年第1・四半期アジア・パシフィック・プロパティ・ダイジェスト日本版(APPD)」を発表した。
東京のオフィス市場は、テナント需要は集約や縮小などのオフィス再編を理由とした移転が大勢を占め、Aグレードオフィスビルの空室率は5.1%となり前期の5.4%からほぼ横ばいで推移。坪当たりの平均月額賃料は、3万7,247円(前四半期比▲11.3%、前年比▲24.6%)と4・四半期連続で下落した。
今後12ヵ月の見通しとして、世界的な景気後退は金融と実体経済の悪化の悪循環がさらに強まる可能性を示しており、企業は設備投資額の抑制が優先課題であることから、業務の効率化を目的とした縮小や撤退が増加するものと予想。結果、テナント需要は減退し賃料と価格はともに下落傾向が続くとしている。
なお、今回から大阪オフィス市場の分析も新たに追加した。
大阪は、需要面から見ると、世界経済の低迷を受けて企業が新規雇用を控えたことや派遣人員の見直しにより、これまで大阪CBD(北区、中央区)Aグレードオフィスのテナント需要を牽引してきた人材派遣業者の勢いがなくなったと分析。
空室率は4.9%(前四半期比0.8ポイントアップ)で、坪当たりの平均月額賃料は1万5,764円(前四半期比▲9.1%、前年比▲18.8%)と、いずれも下落した。
今後12ヵ月の見通しとして、景気後退の影響が顕在化するなかで、大阪Aグレードオフィスは2012年に予定されている「大阪梅田北ヤード」を筆頭に今後も大量供給が続くことから、テナント優位の市場環境は継続し、賃料調整が続くと予想される。
一方で、大量供給が一時的に空室率の上昇を招く懸念はあるものの、Aグレードオフィスビルが数多く供給されることで需要が喚起され、築年数の古いオフィスビルからの移転需要も期待できるとしている。