不動産ニュース / 政策・制度

2010/1/14

家賃債務保証業務の登録制度や、行き過ぎた督促行為への法規制などを提言/社整審民賃部会が「最終とりまとめ」

 国土交通大臣の諮問機関である社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会(部会長:浅見泰司東京大学空間情報科学研究センター教授)は14日、「安心して暮らすことができる民間賃貸住宅政策のあり方」について「最終とりまとめ」を公表した。

 同部会では、民間賃貸住宅をめぐる紛争の未然防止、紛争の円滑な解決、家賃滞納・明渡しをめぐる紛争の解決、市場機能を通じた民間賃貸住宅ストックの質の向上、などについて10回にわたり議論を行なってきた。

 民間賃貸住宅をめぐる紛争の未然防止については、(1)物的性能、契約内容、管理に関する情報等を評価し、入居希望者に提供する仕組み等の検討、(2)原状回復ガイドライン、賃貸住宅標準契約書の見直しの検討とこれらのルールのいっそうの普及、が必要であるとした。
 
 家賃滞納・明渡しをめぐる紛争への対応については、行き過ぎた督促行為が民法上の不法行為に認定されている判例も出てきていること、また現行の法制化における民事、もしくは刑事の手続きによる対応のみでは十分でないことなどを踏まえ、家賃債務保証業務について、貸金業法における取立て規制のような行為規制が必要、としている。
 また、賃借人が安心して家賃債務保証サービスを利用できるように、登録制度を法制的に措置する必要性があると考えられる、とした。

 さらに、家賃債務保証会社による弁済履歴情報の共有については、賃貸人が安心して民間賃貸住宅を市場に供給できる環境を整備するという観点から有効な方法であり、賃借人全体の利益にもつながると明記。
 個人情報の遵守を前提としたうえで、弁済履歴情報を共有するためのデータベースの整備に民間事業者が取り組むこと自体を禁止することはできない、とした。なお、住宅確保要配慮者を市場から排除することがないよう、第三者によるモニタリングの必要性などについても提言されている。

 そのほか、紛争の円滑な解決についてはADR(裁判外紛争解決制度)の利用が検討されたほか、民間賃貸住宅のストックの質の向上については、計画的な修繕を促進するためのインセンティブの必要性などについて提言された。
 
 併せて、民間賃貸住宅政策に関する意見を国民から募集すると発表。募集期間は1月15日(金)~31日(日)。提出方法については、国土交通省ホームページまで。

 なお、同とりまとめを含む民間賃貸住宅部会の資料等についても、同省ホームページ参照のこと。

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