東京急行電鉄(株)は3日、メディア向けセミナー「創造的な働き方を創る都市機能~二子玉川の可能性~」をエコライブオフィス品川(東京都港区)で開き、慶応義塾大学政策・メディア研究科准教授の金正勲(キム・ジョフン)氏とコクヨ(株)RDIセンター主幹研究員の齊藤敦子氏が講演した。
東京急行電鉄は8月、(株)三菱総合研究所、コクヨファニチャー(株)、東京電力(株)、日本アイ・ビー・エム(株)、日本電信電話(株)とともに日本でのクリエイティブ産業集積に必要な都市環境要件を検討する「クリエイティブ・シティ・コンソーシアム」(現在、法人会員約50社)を設立。二子玉川東地区第一種市街地再開発事業区域(東京都世田谷区)を社会実験のモデル地区として、クリエイティブな人材や産業が集積するビジネス地域の創出をめざしている。
東京急行電鉄都市生活創造本部事業統括部企画開発部統括部長の東浦亮典氏は、「日本経済の元気がないなかで、創造性を発揮できる環境の創出により、文化・産業・経済へ貢献していくためコンソーシアムを設立した」などと述べた。
金氏は、「クリエイティブインダストリーの発展における都市の重要性」と題して講演。少子高齢化、BRICsの台頭により国民1人当たりのGDPが下がっていることを日本の課題の1つにあげ、「機械やパソコンに代替えできない創造性のある人材が求められる」などと述べた。また、「異質なものや多様性に寛容な都市ほど創造的で、人を引き寄せる触媒になる」と説明。二子玉川の可能性については、「創造性は文化・芸術の範囲を超え、すべての人に関係している。経済的側面や事業者の意向だけでなく、住民の声を都市創造の過程で取り入れていくことが大事だ」などと提言した。
齊藤氏は、国内外の先進的オフィス事例を紹介。知的生産性を阻害するオフィス空間の例として、「均一で明るすぎる人工光、創造的対話の生まれにくいレイアウト」などをあげ、「実証実験を行なうリアルなオフィスを作り検証していく」などと述べた。
同コンソーシアムは、同開発区域内で東京急行電鉄と東急不動産(株)が開発し、1日に開業した複合ビル「二子玉川ライズ・オフィス」に活動拠点として「(仮称)カタリストフロア」(約130坪)を設置。人材交流や実証実験の場として活用するほか、住民や来街者も創造的な体験をできるような仕掛けや仕組みを検討している。開設は2011年4月の予定。