大学生を中心とした産学連携の建物再生チーム「木賃アパート再生ワークショップ」(代表:連 勇太朗氏(慶応義塾大学政策・メディア研究科))は21日、第2弾プロジェクトについて記者発表を行なった。
「木賃アパート再生ワークショップ」は、2009年に(株)ブルースタジオの大島芳彦氏と(株)良品計画の土谷貞雄氏の声かけにより集まった大学生の手によって、老朽化や収益性の低下などが問題とされる1960~80年築の木造賃貸アパートを、その価値を再考し再生しながら、現代の住まい方を提案し、発信するプロジェクト。同年に行なった第1弾目「北沢プロジェクト」では、下北沢にある築40年のアパート「小栗荘」(東京都世田谷区、総戸数3戸)の外構部分を中心に改装した。
第2弾では、大学を横断して集まった有志の学生13名と(株)エイブルCHINTAIホールディングス(以下、エイブル)が共に、調布市にある木造賃貸アパート3件を同時再生するもの。具体的には、建築、デザイン、マーケティングなどの部分を学生が、オーナーとのマッチングなど仲介部分をエイブルが担い、同社は活動資金の援助も行なっていく。そのほか、前出・大島氏や土谷氏などがアドバイザーを務める。
2011年4月から活動を始動し、6月までは物件の選定、学生やアドバイザーの意見をもとに集まった改修案などを「再生レシピ」として制作、それらから当該物件に合うレシピをピックアップし、7月より物件再生に着手した。改修コストは一部屋50万円程度、オーナーが負担する。
同プロジェクト代表の連氏は「学生ならではの感性や物件の素材を生かしながら、オーナーさんにとって現実的なコストで改修することに意義がある。改修工事だけで終わるのではなく、継続的に物件価値を向上するプロセス構築をめざしている」と話した。
一方、エイブル社長室マネージャーの友添成隆氏は「空室に悩むオーナー様の力になれることはないかという思いで、同プロジェクトにお声がけをした。今回の事例をもとに、再生レシピなどを他オーナー様にもご提案できれば」と述べ、同社として同プロジェクトを機に、今後もオーナーの要望に応えさまざまな試みに挑戦するとした。
今後は、8~9月に着工・竣工し、11月にはプレス発表を予定している。なお、「再生レシピ」は制作過程や図面、写真などを合わせて、マニュアルとしてまとめ、他物件でも流用できるよう、公開していく予定。