国土交通省は12日、「不動産流通市場活性化フォーラム」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の最終会合(第7回)を開き、同フォーラムの最終提言案を発表した。
提言案は、取引にあたって消費者の求める情報が適時的確に提供されていない、不動産事業者等が消費者ニーズに十分応えていないという流通市場の課題を解決することで、市場の活性化を図るため検討すべき項目について、有識者の意見を踏まえ提言したもの。実現可能性にこだわらず幅広い提言を盛り込んでおり、大きく(1)円滑な不動産取引のために必要な情報の蓄積と提供、(2)消費者ニーズに対応できる不動産流通システムの整備、(3)不動産流通業者の活性化に向けた環境整備、に分類。
(1)には、物件情報の充実、価格情報の提供の方法、住宅履歴の整備、住宅の燃費に関する情報提供の仕組み、(2)では、宅地建物取引業者の総合コンサルティング機能の向上や、インスペクション、既存住宅売買瑕疵担保保険など専門事業者の育成、価格査定の見直し等による価格の透明性向上、流通を契機としたリフォーム提案、流通市場活性化のための金融支援、(3)では、仲介事業者の資質向上、既存住宅瑕疵保険やリフォーム瑕疵保険の普及促進などを盛り込んだ。
また、今後の政策展開に向けた「不動産流通システム改革のための5つの柱」として、「消費者にとって必要な情報の整備」「不動産の価格の透明性の向上」「先進的な不動産流通ビジネスモデルの育成・支援と成功事例の普及」「宅地建物取引業者及び従業者の資質の向上」「住み替え支援など多様な手段による既存ストックの流動化の促進」を示した。
これらの案に対し、参加した委員からは「インスペクション」や「木造住宅の寿命」などの定義、地盤・構造の検査義務付けや「インスペクション検査員制度」創設の是非などについて、議論が交わされた。
同省は、これらの意見を反映させた最終提言を、6月末に発表する予定。また、フォーラムで提言された内容については「政策に反映させるため、さらなる議論の場を設ける。8月ごろには、具体的なテーマ等を明らかにしたい」(土地・建設産業局不動産業課長・野村正史氏)とした。