(株)坂茂建築設計は、大和リース(株)の応急仮設住宅と基本構造・工法を共通化した発展途上国の低所得者向け住宅製造システムを開発。9日、報道陣に説明を行なった。
災害時の応急仮設住宅を提供する大和リースと、世界の被災地で多くの仮設建築を手掛ける建築家の坂 茂氏が協力。平時は途上国を拠点として低所得者向け住宅として供給し、日本などで大量の応急仮設住宅が必要となった際には、応急仮設住宅生産へ切り替え、被災地に供給するシステムとした。
発展途上国での製造を想定し、主部材に、量産効果、軽量効果を得られる「FRPサンドイッチパネル」(FRP(繊維強化プラスチック)でサンドイッチされた発砲ウレタン断熱材)を採用。パネルを四隅に配置し、構造体とする。ユニットは、大きさや仕様も変えられ、連結も可能なため、ローコストで工期が短く、施工も簡単といった特徴を持つ。
同日会見した、大和リース代表取締役社長の森田俊作氏は「いつ起きるのか分からない災害に備えて、応急仮設住宅を事業化することは難しい。しかし、海外に生産ラインをつくっておけば、万が一、国内で大規模な災害が起きたとしてもすぐに対応できる」などと述べた。また、坂氏は「これまでさまざまな国で、紙管などの軽くて安い材料を利用して、仮設住宅をつくってきた。ローコスト住宅を現地で製造することで、雇用をつくり出すことができる。多くの人に役立てるようにしていきたい」などと述べた。
価格は標準プラン(6m×6m)で130万円程度。今後は、東南アジアを主要ターゲットに、展開していく予定。なお、実物大モックアップの展示を、10日までアーク森ビル アークヒルズ カラヤン広場(東京都港区)で行なっている。