国土交通省は8日、第6回「安心居住政策研究会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の会合を実施。第5回で提案された骨子案を基に中間とりまとめ案を示した。
とりまとめ案では、多様化する国民ニーズへの対応が重要で、環境に優しく、多様な世帯がコミュニティの中で安心して健康・快適に自己実現して暮らせる場を提供していくことが必要であるとした。同時に、まち全体のコンパクト化に合わせ、まちの各ブロックに高齢者・子育て世帯・障害者など、多様な世帯が安心して健康に暮らすことができる日常生活圏域(住生活クラスター)の形成を進めるべきと示している。さらに、高齢者・子育て世帯・障害者の各々について、具体的な対策と目標(安心居住目標)を明示。具体的な対策を計画的に推進するため、工程表を策定した。
高齢者の安心な住まいの確保に向け取り組むべき対策としては、(1)「健康の維持増進」「地域の居場所(コミュニティ)づくり」、(2)居住支援協議会による「住まい」の包括サポートの実現、(3)生活資金の確保、住み替え支援のための「リバースモーゲージ」の拡充、担保評価の改善等、(4)高齢者住宅市場における資金調達の多様化、を挙げた。また、居住支援の効果的な実施にあたっては、地域の中で専門知識に長けた人材の確保・育成が重要であり、中長期的に取り組むことが重要であることも加えた。
子育て世代の対策は、(1)安心して子育てできる住宅の普及促進、(2)親世帯の資産を活用した子育て世帯の住宅取得の支援等、(3)子育てやコミュニティ支援の充実・強化、(4)居住支援協議会による「住まい」の包括サポートなどを提案。多様なサービス展開を促進するため、先進事例集を作成するとともに、安心して子育てできる住宅に関するガイドライン(指針)の策定が必要であるとした。
障害者対策については、(1)居住支援協議会による「住まい」の包括サポートの実現等、(2)障害者のコミュニティ支援等の充実・強化、(3)障害者が入居可能な住宅の供給拡大を挙げている。
委員からは、「工程表は、東京オリンピック開催を意識して5年後に設定しているが、中長期の視点で10年後に設定したほうが良いのではないか」「コミュニティの定義は、人的交流なのか設備の充実なのかをはっきりさせるべき」などの意見があった。
中間とりまとめは、今回の検討会での意見等を踏まえ内容を精査し、同省ホームページで公表する予定。