不動産ニュース / 政策・制度

2015/12/14

新たな住生活基本計画、「3つの視点」から「8つの目標」設定/国土交通省

 国土交通省は14日、第44回社会資本整備審議会住宅宅地分科会を開き、新たな住生活基本計画の骨子案を示した。

 骨子案では、住生活の現状と今後10年の課題を「少子高齢化と人口減少」「世帯数の減少と空き家数の増加」「住宅ストック活用型市場への転換の遅れ」「マンションの老化、空き家の増加による防災・治安・衛生面の課題」「地域コミュニティの希薄化」と設定。2016年度~25年度を計画期間とする新たな住生活基本計画では「居住者」「住宅ストック」「産業・地域」の3つの視点で目標案を設定することとした。

 計画目標は、国民が分かりやすい表現を意識。「居住者からの視点」で、(1)出生率の向上に貢献する住生活の実現、(2)高齢者が自立して暮らすことができる住生活の実現、(3)住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保、(4)「住宅ストックからの視点」で、住宅すごろくに代わる新たな住宅循環システムの構築、(5)建て替えやリフォームによる安全で質の高い住宅ストックへの更新、(6)急増する空き家の活用・除却の推進、「産業・地域からの視点」で(7)強い経済の実現に貢献する住宅に関連する産業の成長、(8)住宅地の魅力の維持・向上、という8つの目標を示した。また、成果指標については、現行目標はほとんどの指標が目標を達成していないことが報告されたが、その取り扱いについて、骨子案では言及しなかった。

 提示された骨子案について委員からは、「出生率の向上を目標とするのはストレート過ぎる」「出生率の向上は、安心して子育てできる環境の整備が前提となる」「子育て世帯の支援と同様、若年世帯の生活の自立も重要」など「出生率の向上」という目標について注文が付いたほか、「住宅循環システム(既存住宅が資産となり、次の世代にも承継される)」という新語を目標に使うことにも注文がついた。

 そのほか「質の高い住宅ストックに対する担保評価があいまい」「住宅供給に対する公的な誘導策にどこまで踏み込めるか」「産業と地域の視点をまとめていることに違和感」「全国計画と各地域の計画との関係性についても書き込むべき」「少子高齢社会にふさわしい住宅税制のあり方について触れるべき」といった指摘がなされた。

 同省は、今回の会合での意見を踏まえ、16年1月22日の次回会合で住生活基本計画改定案を発表。審議会での議論とパブリックコメントを経て、年度内の改定を目指す。

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