(公社)全国宅地建物取引業協会連合会、(公社)全日本不動産協会など不動産関連団体7団体は18日、「中古住宅・空き家フォーラム」をニッショーホール(東京都港区)で開催。約600人が出席した。
開会の挨拶に立った全宅連会長の伊藤 博氏は、「少子高齢化の進展をはじめとするさまざまな環境変化に伴い、不動産業界ではいくつもの課題に直面している。その一つが、中古住宅流通の活性化だ。今年の税制改正では、空き家の譲渡所得税の3,000万円控除が実現、インスペクション結果を重説に盛り込むことなどを定めた改正宅建業法が今回の国会で成立予定と、課題解決の追い風となっている。不動産関連団体では、中古住宅流通・空き家活用へ、引き続き積極的に取り組んでいく」と述べた。
続いて国土交通大臣の石井啓一氏が、「住生活基本計画にも既存住宅流通・リフォーム市場規模を倍増することが盛り込まれた。この実現も含めて宅建事業者の担う役割は非常に大きい。この課題に官民団結して取り組んでいきたい」と語った。
基調講演では、「今後の日本経済と中古住宅流通市場」をテーマに、(株)日本総合研究所理事長の高橋 進氏が登壇。アベノミクスの3年間の成果について解説。なぜ今ストック活用が求められているのか、諸外国との既存住宅流通をめぐる比較、中古ストックの活用に向けて求められる要素などについて、分かりやすく説明した。
またパネルディスカッションは、パネリストとして、リニュアル仲介(株)代表取締役の西生 建氏、横浜市立大学教授の齊藤広子氏、(独)住宅金融支援機構理事の望月 久美子氏、リクルート住まい研究所所長の宋 健氏が登場。「中古住宅市場活性化と空き家活用による地域再生」をテーマにディスカッションを行なった。
西生氏は、「中古住宅流通活性化を進めるには、中古住宅の資産価値の維持が不可欠」と繰り返し述べ、オーナーの投資意欲を引き上げる策が必要と語った。特に賃貸では、「耐震性を高めても、家賃上昇につながらない現状では、性能向上に投資しようと思わない。その状況を変えていくことが必要」と語った。
また齊藤氏は、これまでの右から左へと仲介を行なうだけではなく、「その不動産をどのように利用してまちを活性化させるか、その視点でのビジネス展開が求められる」と語り、成功している各地の不動産会社の取り組みを紹介した。
閉会の挨拶を行なった全日理事長の原嶋和利氏は、「安心・安全なまちづくりのためにも、不動産業界の果たすべき役割は日増しに高まっている。空き家の利活用・地域活性化のために、われわれは全力で取り組んでいく」と力強く語った。