オープンハウスにも効果的な「クリスマスツリー」
感謝祭が終わると、森から掘り起こされたばかりで土も乾いていないダグラスファー(クリスマスツリー用)を屋根に積んで家路に向かう車が街にあふれる。楽しい冬の風物詩だ。生のツリーは何と言っても爽やかな匂いがよい。オープンハウスで匂いが人の心理に及ぼす効果は大きい、と前回述べたが、このダグラスファーは人々に楽しいクリスマスを連想させ、それが家のイメージに結びつき、セールスにつながる可能性も…? オープンハウスにツリーを飾る場合に、部屋の真ん中には置かないように。 “ロケーション” と“スペース” は人が家を買う際に決定的な要因となるから、スペースの広さを強調すべきだ。ツリーは場所をとるし向こうが見渡せない。シンプルな飾り付けをして部屋のコーナーに置く方が効果的だ。全体としてちまちました物をたくさん置くよりも、大きなものを2つか3つ程度に抑えておくのが広いスペースを印象付ける鍵となる。 そして、クリスマスライトを家の周囲に飾る。客が家を見に来た時にまず目につくし、華やかなライトで室内に導こう。中心地活性化に、まちぐるみでクリスマスイベント
クリスマスが近づくと、街は買い物客で賑わい、イベントもあちらこちらで催される。 ノースカロライナ州サマーヴィルではシャッター通りになりつつある旧市内中心地界隈で、“サンタクロースが街にやってくる” をテーマに数々の催しを企画した。メインイベントの大パレードは12月12日午後2時に3つの高校生によるバンド演奏を先頭に出発、開始された。トナカイ達に引かれたソリに乗るサンタクロース、コンテストで選ばれた地元の美の女王達や有名人達が乗った山車(オープンカーを飾り付ける)が旧市内を練り進み、スポーツチームや地域のビジネスに関わる人々、教会関係者などのスポンサー達も山車に乗って続いた。 ちなみにパレードのあとは、市内のセンチュリー21不動産オフィスで “サンタに会える ”イベントが行なわれ、高校生の家族たちをはじめ大勢の人々がオフィスに押しかけたそうだ。クリスマスのイベントは全米各地で行なわれるが、コミュニティが中心となって地元が一体化する機会を持つのは地元離れが進む昨今、素晴らしいと思う。以下はサマーヴィル町のパレード以外のスケジュール。12月10日:
12月11日:
暖炉の周りで物語を朗読。クリスマスの飾りやリース(輪になった大きな飾り)を馬小屋で制作。12月12日:
ケルティック(アイルランド、スコットランド地方)のクリスマスコンサート。グルメ料理も。12月16日:
スクルージ爺さんの劇を上演。12月17日:
ミドルタウンプレースでクリスマス用の照明が灯される。光輝く庭園をそぞろあるく人々に、時代衣装を着た話し手が1782年代のクリスマスストーリィを語って聞かせる。12月19日:
教会でクリスマスキャロルの劇を上演。12月23日:
サンタクロース アフタヌーン ティ。おやつをいただき子供達はサンタと一緒に写真を撮る(www.postandcourier.com/)。教会のクリスマスツリーの下で合唱隊や大学のオーケストラが聖歌を歌ったり演奏をする。
クリスマスカードの有効な活用法
クリスマスカードはもとより、カードをマーケティングとして使う際のアイディアとして、ジェフ・チャールトン氏が率いるReal Estate Postcards Online社(ミズーリ州)は、不動産エージェントがカードを用いる場合に次のような販売促進のアドバイスをしている。 第一のアイディアは、あなた(不動産エージェント)が不動産の売買を取り扱うプロセスを書き出してそれを12に分けなさい。分けた文章をそれぞれ1枚ずつのカードに書くと合計12枚になる。そのカードを潜在的な客や過去に関わった顧客に月に1枚ずつ送りなさいというもの。12枚、つまり1年間で売買の専門的なプロセスの説明が届くわけだ。 第二のアイディアは、カードにあなた(不動産エージェント)のこれまで扱った物件をのせて、それをあなたが成し遂げた例として顧客に送る。この時、カードには新聞の見出し風なヘッドラインを入れるというもの。顧客に無料のアドバイスを申し出たり、もしも隣人などから物件についての正直なコメントでもあれば、それもカードに記載しておく(www.realestatepostcardsonline.com)。クリスマスを祝わない人たちにも気遣いを
クリスマスを盛り上げるのにカードは欠かせない。日本では元旦にまとめて束となった賀状が届くが、アメリカではカードは12月初めからぽつぽつと家庭に届き始める。ツリーに飾ったり、壁にピンアップしてクリスマスの日まで美しいデザインのカードを眺めて楽しむ。 クリスマスカードを送るに当たって、アメリカには多くの宗教があり、誰もがクリスマスを祝うわけではない、という点に不動産エージェントは注意すべきだろう。約80%はキリスト教だから、クリスマスは国民の祝日と言って良いほど大きな祭りではあるが、だからといって残りの20%には回教、ユダヤ教、仏教、ヒンズー教、その他が含まれ、彼等はクリスマスは祝わないのである。相手がキリスト教徒かどうかはっきりわからない場合は「よいホリディを」 とか「素敵な新年をおむかえください」 とカードに書いた方が宗教色がなくて無難。アメリカはさまざまな宗教、人種、文化が混じり合ってできた国だから、こういった気遣いは必要であろう。Akemi Nakano Cohn
jackemi@rcn.com
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コーン 明美
横浜生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業。1985年米国へ留学。ルイス・アンド・クラーク・カレッジで美術史・比較文化社会学を学ぶ。
89年クランブルック・アカデミー・オブ・アート(ミシガン州)にてファイバーアート修士課程修了。
Evanston Art Center専任講師およびアーティストとして活躍中。日米で展覧会や受注制作を行なっている。
アメリカの大衆文化と移民問題に特に関心が深い。音楽家の夫と共にシカゴなどでアパート経営もしている。
シカゴ市在住。