分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、首都圏「超郊外エリア」でのマンションマーケット検証をまとめた。郊外部でのマンション用地取得競争が激化し、比較的取得が容易な超郊外部でのマンション用地取得が活発化しつつあるなか、事業として成り立つかどうかを、バブルをはさんだ20年間の市場動向を踏まえ検証した。
前提として、郊外部を都心から約30キロ圏内(概ね国道16号線内)、そこより遠方を超郊外部とした。放射状に伸びるJR、私鉄13路線の「超郊外部」での、マンション供給戸数、平均価格、平均面積、坪単価について、バブル前(85年~87年)、バブル(89年~91年)、バブル後(95・96年、2000年・01年)、現在(04年~06年4月)の推移を検証した上で、手前の郊外部と比較した。
超郊外部の供給戸数は、バブル前は3,532戸で郊外部比11%とマーケットは極めて小さかったが、バブル期は1万4,825戸と急増し、郊外部の68%にまで拡大。バブル後には5,018戸まで減少したが、現在は6,724戸とバブル前の2.5倍、郊外部比16%まで増加している。
一方、分譲単価はエリアにより異なるが、バブル期の上昇率は平均75%で、郊外部の97%と比べ上昇幅は小さい。しかし、バブル後の下落率は30%と、郊外部の32%とほとんど同じで、「あまり上がらず、大きく下がる」ため、分譲単価もバブル前より低い水準となっている。
しかし、初月販売率は平均69.1%、現在は63%と極めて低く、郊外部の平均73.7%から10ポイントも差がある。分譲単価がバブル前より低い水準にもかかわらず、販売が苦戦することについて、同社は「もともとマーケットが小さいため、多少の供給ボリュームでも即需給バランスが崩れ、売れ行きに対する影響が大きいこと」「単価水準は良くても、グロス価格がミスマッチ」と原因を分析している。
同社は、こうした超郊外部のマンション市場について「バブル期は、絶対的な価格の割安感で多少広域からの集客も可能だったが、大量供給が続く今は、地元の狭域をメインターゲットにしなくてはならない。世帯数が少なく地元の商圏も狭い超郊外部は、郊外部の市場の延長上にあるのではなく、全く別物のマーケットであり、非常にリスクが高い」と結論付けている。