世界のVIPたちを受け入れてきたホテルが、リノベーション
先般、国内資本のラグジュアリーホテルとして、新たなスタートを切った「ザ・キャピトルホテル 東急」(東京都千代田区、総客室数251室)。 日枝神社に隣接し、豊かな緑に囲まれた環境が特徴。場所柄、高層ビルに囲まれているが、敷地内に囲うように植えられた緑が、閑静な落ち着きを演出している。また、緑だけでなく、水を使ったインテリアに心から落ち着くのは日本人だけではないだろう。 花鳥風月を愛でる日本人らしさを出し、「四季の移ろう和らぎのホテルをテーマに、至るところに「和」をイメージした演出が光る「ザ・キャピトルホテル 東急」を訪れた。
「電車に乗って都心のホテルへ」
ところは、千代田区永田町2丁目10番地。地下鉄「溜池山王」駅の改札口を出て、そのまま地下通路をホテル入口へと進み、エレベーターでレセプションフロアへ到着したその瞬間、時間の流れ方が変わったような感じがした。
「和のホテルが誕生したんですよ、一度は泊まるべきですよ」の知人の声におされ、11月の中旬1泊して、24時間客室に滞在し、都心のど真ん中で見下ろす夜景や、朝焼けを楽しみ、リフレッシュしてきた。
午後3時、チェックインをして客室に入る。標準サイズの「デラックスキング」ルームの広さに驚く。これで45平米だというが、ガラス窓の向こうの眺望のおかげか、実際よりも広く感じる。
ドアを開けるとすぐ視界に入ったのが、モダンな障子。
客室は、この「デラックス キング」タイプ(1泊1室65,000円)が中心で、144室。ほか、リノベーション前の旧客室のイメージに近い、高い天井や、カーテンがなく障子とふすまの窓が印象的な、63平米の「プレミアキング」(同87,000円)や、102平米の「エグゼクティブ スイート(同170,000円)、218平米の「ザ・キャピトルスイート」(同650,000円)など、合計数251室(価格はサービス料・消費税込み)がある。
いずれも、シンプルシックな「和」のデザインが印象的なインテリアで、白木材、グレーを基調とした天然石調のタイルは、全室に共通している。水の穏やかな流れを表現しているダークブラウン色のカーペットが、客室内の高級感と落ち着きを演出。壁紙の優しさと、自然に調和している。日本の和の心が、控え目でありながら、優しく、強く、訪れる人をもてなし、開放的な窓から広がる都心の景色が、客室をより広く見せるのに一役買っている。広がる景色は、東側には国会議事堂や皇居が、西側に日枝神社、新宿の高層ビル群。まさに日本のど真ん中ステイを実感できる瞬間だ。
環境にもやさしく ~環境保全活動「グリーンコインプログラム」を実施~
目に入ったのは、客室にある木箱のアメニティボックス。ここには、歯磨き、ブラシ、カミソリ、コットン等が入っているが、すべて使用せずに、備え付けの「グリーンコイン」をフロントに持参すると、環境保全活動に間接的に参加できるのだ。
東急ホテルズでは、宿泊者の協力のもと、環境保全活動「グリーンコインプログラム」を実施中で、グリーンコインは、枚数に応じて、国際協力のNGO(財)オイスカが進める植林活動「『子供の森』計画」および「グリーンコインの森」の支援金としているのだ。
コイン入れには、「お客様のご厚意が、森を育てます。Your participation will help our save the forest program.」と書かれてある。実際にアメニティボックスの中身をすべて使わずに、コインをフロントで提出したところ、「ありがとうございます。国際ボランティア機関『オイスカ』を通して、森林再生のための苗木1本に、変わります」と言われた。
具体的にどのようにこれが使われるのかと、突っ込んで質問をしたところ、「これまでに15万本以上の苗木を皆様の善意で寄付してまいりました。また、奥多摩 丹波山村の多摩川の水源保護の植林活動への苗木にも寄付されます。奥多摩へは、初夏にスタッフが苗木の植林に行き、秋には草刈りにも行っております」と気持ちよく回答された。
普段、なかなか積極的に環境保全活動に参加できないと感じている人は多いだろう。が、こういう機会があると有り難い。
アメニティは使いたいところだが、歯ブラシぐらいを持参すればなんとかなる。強引すぎず、ゲスト任せ(次第)で進む活動というごく自然なやり方がいいなと思った。
自身への“ご褒美”となるラグジュアリーホテル
ホテルは、「キャピトル東急ホテル」の跡地に建設された地上29階、地下4階の複合ビル「東急キャピトルタワー」(デザインアーキテクト隈研吾氏)の1~5階、14~15階、18~29階にある。
ビルのフロア構成は、地下3階が駐車場、地下2階は地下鉄「溜池山王」と「国会議事堂前」駅に直結していて、上島珈琲店や、ブーランジェリードミニク・サブロン(ベイカリーショップ)等がある。
レセプションがあるメインロビーは3階で、ゲスト用客室は、5階(スイートルームのみ)、18階~29階となっている。16階と17階はレジデンスフロア。ビルの4~13階がオフィスフロアだ。
ホテル内のレストランは、2階に中国料理「星ケ丘」が、3階に日本料理「水簾」、オールデイダイニング「ORIGAMI」、それからラウンジがある。4階の「ザ・キャピトルバー」へは専用エレベーターでアクセスができる。日本料理「水簾」は、池に囲まれたホテルの「離れ」にあり、落ち着いた雰囲気が味わえる。「ホール席」「鉄板焼き」「寿司」「個室」の4つのコーナーに分かれ、目的に合わせた利用ができる。4階には、専用エレベーターでつながった特別個室も設けられている。
宿泊者が無料で利用できる「ザ・キャピトル フィットネスクラブ」(ロッカー利用時のみ有料/クラブフロアゲストは無料)は、フロア15階にあり、自然光をふんだんに取り入れた室内20m温水プールや、アウトドア感覚ジャグジー、最新のマシンを揃えたジムが、朝の6時半から稼動している。「スパ&バーバー カージュラジャティアド」と隣接しており、ジムで体を絞り、サウナで汗を流し、スパの要素を取り込んだ全国に展開する高級エステティックサロン「カージュラジャ」で上質なトリートメントを受ければ、自分を磨く素晴らしい滞在となることだろう。
滞在中は、贅沢三昧しようと、ホテル14階のエステティックサロン「カージュラジャ ティアド」へ行き、美白ケア目的の75分のフェイシャルトリートメント(35,700円)を受けた。
宿泊費とあわせるとざっと10万円だが、こういう一日も自分の心の健康維持に必要なのでは、と感じる。
滞在する前は、もう少し政治家や外国人向けのホテルかと思ったが、女性一人が、心リセット目的で宿泊するホテルとして利用するのもいい。レディース向けのプランが充実して、「リラックス」や「美容」を売りにしているホテルが多いが、意外に人が多く、疲れてしまうことも多い。その点、空間にもサービスにもゆとりがあるこのホテルは、時間を、現実を、忘れさせてくれる、という意味ではとてもいいと感じた。
リノベーション前の客室もとても好きだったが、今もとてもいい。今度はレストランで贅沢な時間を楽しみたいと思う。(yukizo)
ザ・キャピトルホテル 東急
東京都千代田区永田町2-10-3
TEL 03-3503-0109、FAX 03-3503-0309
東急キャピトルタワー
http://www.capitolhoteltokyu.com
*2010年10月22日開業
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