国土交通省は29日、市町村が空き家所有者情報を外部提供するにあたっての法制面での整備、提供の際の運用方法、留意点などをまとめた「空き家所有者情報の外部提供に関するガイドライン」の試案を策定・公表した。
社会問題化する空き家対策として、除却だけに限らず、流通を中心とした利活用の促進が求められている。空家特措法の施行により市町村の税務部局が保有する課税情報を空き家対策に市町村内部で利用することが可能となったが、個人情報保護条例などに抵触するのではないかといった懸念から、民間事業者などへの情報提供は進んでいなかった。
そこで国交省が、外部情報に当たっての法制的な整理、外部に提供する際の運用方法・留意点をガイドライン(試案)としてとりまとめた。
法制的な整理については、地方税法との関係では、空き家部局に所属する者が税務部局から得た課税情報を外部提供しても法には抵触しないと説明。さらに、個人情報保護条例、地方公務員法との兼ね合いでも、所有者本人の同意を得て、その範囲で外部提供する場合にはいずれにも抵触しないとした。
運用にあたっての留意点としては、空き家の特定・課税情報を活用しての所有者調査を行ない、特定できた空き家所有者に外部提供の意向を確認した上で同意取得、事業者との連携方法を固めた上で外部に情報提供と、流れを整理。空き家所有者の同意を得る際の相手方は所有者であり、同意取得の内容は、情報の提供先、その利用目的、提供情報の内容であり、同意取得方法としては書面での取得が望ましいとしている。
宅建事業者などの民間事業者との連携方法については、市町村が積極的に関与し、苦情対応やトラブル防止に配慮しながら、地域の実情に応じた仕組みとすることが必要であるとし、市町村における登録制度や、市町村と事業者団体との協定が考えられるとした。その具体的な実践例として、京都市、松戸市、太田市の事例を紹介した。
今後、各市町村の取り組みなどを踏まえ、さらに内容の充実を図る予定。なお、ガイドラインはホームページよりダウンロードできる。