(株)東京カンテイは31日、2022年の新築・既存マンション価格の年収倍率を算出、公表した。全国で分譲された新築マンション、流通した築10年既存マンションの70平方メートル換算価格を、内閣府の平均年収予測値と比較し算出した。
新築マンション価格の年収倍率は、全国平均で9.66倍(前年比0.73上昇)となった。全国的に平均年収が低下する中で、新築マンション価格は全国的に上昇。圏域を問わず高額帯の供給が行なわれていることが背景として考えられる。
三大都市圏では、首都圏が12.47倍(同1.18上昇)、近畿圏は10.93倍(同1.07上昇)、中部圏は9.31倍(同0.43上昇)といずれも上昇。首都圏では東京都・神奈川県・埼玉県で、近畿圏でも兵庫県を除く2府3県で過去17年間での最高値を記録している。中部圏では平均価格が若干下落したが、これは平均年収の低下によるもの。
都道府県別では、東京都の14.81倍(同0.12上昇)が最も高く、次いで京都府の13.66倍(同2.07上昇)、大阪府の12.45倍(同0.88上昇)となった。年収倍率が拡大したのは37都道府県、10倍を超えた都道府県は13都道府県となっている。
築10年の既存マンション流通価格の年収倍率は、全国平均で7.27倍(同0.73)と新築同様に拡大。08年の既存マンション価格の年収倍率を集計開始して以来、初めて7倍台に達した。三大都市圏では、首都圏が11.21倍(同2.27上昇)、近畿圏は8.45倍(同1.23)、中部圏は6.92倍(同0.20上昇)となった。
都道府県別では、東京都が14.49倍(同1.14上昇)で最も高く、次いで京都府11.35倍(同2.34上昇)、埼玉県10.87倍(同2.75上昇)。今回初めて埼玉県、神奈川県、京都府、大阪府が10倍を超えるなど、首都圏・近畿圏での価格上昇が全体の年収倍率を引き上げたかたちだ。
同社では「低金利下とはいえ、東京をはじめとした都市部では一般サラリーマンが住宅を購入しにくくなっている。ただ、東京などでは新築・既存の年収倍率の差が縮まってきており、価格調整期に入る直前にも似たような現象がみられることがあるため、市場の注視が必要だ」と分析している。