コミュニティーを重視した郊外型SC
11月8日、「ララガーデン 春日部」(埼玉県春日部市)がグランドオープンした。 同施設は、三井不動産(株)が展開する地域密着型のライフスタイル型ショッピングセンター(SC)。都市近郊生活者のライフスタイルの高度化・多様化に対応するため、スーパーや生活雑貨店などを核に、ファッションやレストランのほか、地域に必要とされる医療やサービス機能などを集積。生活者の利便性向上を図りつつ、施設で過ごす時間そのものの快適さ・楽しさを重視し、人々が自然と集まり、地域コミュニティーの中心となる施設をめざすとしている。 今回は11月6日に行なわれた、内覧会の様子をレポートしたい。
コミュニティー機能を重視したSC
同社は、都市近郊生活者に向け、「ライフスタイルパーク」と呼ばれる比較的小規模な複合商業施設を積極的に展開している。
同施設は、「トレアージュ白旗」(神奈川県藤沢市)、「LALAガーデンつくば」(茨城県つくば市)、「LaLaテラス南千住」(東京都荒川区)に続く4店舗目。春日部に引き続き、このほど、川口でも「ララガーデン川口」を着工した。
同施設のコンセプトは、地域住民を基軸ターゲットとし、比較的小規模ながらも、買い物をする施設だけでなく、生活サービスや貸し出し可能の公共施設、またエンターテインメント施設や飲食店などで構成。
また、オープンスペースやテラスなど、共用部を充実させることで、施設を訪れた人が自然と集まり、地域コミュニティー活動の場としてまちの中心として機能する施設をめざす。
建物は、6階建て、敷地面積2万3,361平方メートル、延床面積6万3,340平方メートル。東武野田線、東武伊勢崎線「春日部」駅より徒歩4分に位置。
毎日立ち寄れる「街」をイメージし、施設内は3層吹き抜けのオープンモールや、テラスを設置するなど開放感があふれる作りになっている。実際、施設内を歩いていながらも外にいるような感覚を受けた。
施設のデザイン監修には、MTMインターナショナルおよびフェルナンド・バスケス氏を起用。親しみやすく洗練された色使いとなっている。また施設の中心には春日部駅西口の「春日部市ふじ通り」にある藤棚をイメージした大屋根を設けた。
地域特性を生かした店舗展開
入店しているテナントは食品スーパー「リブレ京成」をメインに、服飾雑貨店、その他飲食店などをふくめ88店舗。そのうち22店舗が埼玉県初出店の店舗とするなど、ほかの近隣商業施設との差別化を図った。
デイリーユースとして使用を見込んでいる団塊ジュニアファミリーをメインターゲットとしながら、学生・シニア、またエンターテイメント利用客など、幅広い年代・地域に訴求する店舗展開となっている。
「三越春日部」では、老舗デパートである「三越」ならではの、幅広い年代に訴求できるインテリアや生活用品を揃えた。また、最寄駅である東武線「春日部」駅近辺に多くの中・高・大学が所在することから、「Misty Grace」、「CHILLE anap」、「Janiss」、「SPIG」などティーンズ・ヤングを対象としたファッションや雑貨店なども多く誘致した。
また、エステティックの「TBC」やマッサージの「てもみん」、簡易フィットネスが行える「PIU 5R HEALTH」などリラクゼーション施設も充実している。
そのほか、シネマコンプレックス「ユナイテッド・シネマ」や地元を舞台とした人気アニメ「クレヨンしんちゃん」をテーマにしたアミューズメントパーク「ゲーセン クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶブリブリシネマスタジオ」もオープン。
春日部駅10キロ圏内には、こうしたアミューズメント施設が少ないことから、上記2施設を出店することで、比較的遠方に住むアミューズメント施設利用客の集客も見込むとしている。
コミュニティーを充実させ、まちの中心に
また都市近郊者の生活利便性向上を図るだけでなく、地域コミュニティーの中心となる施設をめざし、人々が集うことのできる共用部を充実させた。ステージと一体となりイベント等が開催される「プラザ」、南エントランスに位置する噴水のほか、テラス、コミュニティールームなどが設けられている。
これらは「みんなの広場」として、春日部市に在住、もしくは在勤、在学している人で、営利目的でない活動であれば、誰でも利用可能。
ステージでは演奏、演技の発表、プラザでは展示イベント、コミュニティールームでは教室、集い等、用途に合わせてそれぞれの施設を選択することができる。「グランドオープン記念」特別企画として、当分の無料にて貸出する。
また、同施設のキャラクターを春日部市内に在住・在学している児童・生徒から募集するなど、参加型のイベントのイベントを実施し、利用者とともに施設作りを行なっていく方針である。
同社商業施設本部リージョナル事業部総括の柴田志道氏は「春日部エリアは、趣味のサークル活動や地域の活動が活発に行なわれており、こうしたスペースの有効活用が見込まれる。地域住民にコミュニケーションできる場を提供することを通じて、細かなユーザー情報を拾い、利用者のニーズにあった施設づくりを行なっていきたい」などと述べた。
埼玉県内で商業施設の開発が盛んに行なわれている中、「コミュニティー形成」を重視し、他の商業施設との差別化を図った「ララガーデン 春日部」。初年度の来場者見込みは500万人、売上目標は120億円。地域コミュニティーの核となり、業績好調な「LaLaガーデンつくば」、「LaLaテラス南千住」に続くことができるか、注目したい。(ゆ)